CALPISの旅立ち



突然、CALPISが旅に出ると言い出した。
理由はいろいろ言っていたが、あたしに責任があると言いたいらしい。
その直前にあたしはCALPISから、『さようなら』と題した手紙を受け取った。

三行半(みくだりはん)どころか、本にして15ページという、
背表紙で人が殺せるんじゃないかっていうほど分厚い手紙だった。
本当にいろいろ言い訳をして、ヤツはあたしの前から去っていった。

改めてみると、周囲の視線が・・・。
あたしは噛みついたりしないってのに。
周りが気を使いまくってるのがSS越しにも伝わってきます(笑)


詩人に詩で別れを告げられて、何を言えってのよ。
旅人に旅立たれ、どうしろっていうのよ。

ふつふつと湧き上がる怒りと、
何かがすっぽりと抜け落ちてしまったような謎の感覚。
ただ、それだけだった。
そのときは。

さすがに詩人だけあって、上手くできた別れの手紙だったけど、 それが逆にどこかムカつく(笑)。
怒りを胸に、あたしは勢いで返信の手紙を書いた。
さすがに詩人に詩で対抗するのは無謀なので、
長歌はやめて、1つの物語と一首の短歌を贈った。
全く対抗しないんじゃ、あたしの気が済まないからね。


返信の手紙はSunに預けたけど、届いたかな。
魔女の宅急便??




数日後、NFAのHPにCALPISの日記があることを知った。
それを読んで、不覚にも涙がでそうになった。
旅立ちの前、CALPISもまた、あの噴水のある公園のベンチに座ったのだ。

あたしとCALPISにとって、たった一つの思い出の場所・・・・・・

CALPISから別れを告げられた後、
あたしはみんなと別れて一人ぶらぶらと歩いていた。
気づいたとき、あたしの目の前には懐かしい噴水が、
あの日と同じように水を噴き上げていた。

下の二人は、たまたま待ち合わせていた男2人。
当てつけのつもり!?


最初か二度目の出会いが、あの公園だったと思う。
CALPISは誰もいない公園で、一人ハープを弾いていた。
たしか、あたしが『こんなところで何してるの?』
って聞いたら、『詩人が歌うのに、理由は必要ありませんよ』
という答えが返ってきたんだったと思う。


結局噴水を眺めてても何も変わらなかったけど、
あのベンチに同じようにCALPISが座っていたなんて考えもしなかった。
そう思うと、とても複雑な気持ちになった。

もう少し、あのベンチに座っていればよかった。